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クリエイティブAI

AIでアイデアを広げる — コンセプト出しとブレストの実践手順

ラフなブリーフをAIとの対話で広げ、方向性を絞り込むまでの実践手順を、実際の作業順に沿って記録します。

Zocchic Creative Academy 編集部 約5分

「新しいカフェのロゴを考えてほしい」というような、一行だけのブリーフから制作が始まることは珍しくありません。情報が少なすぎてどこから手を付けていいか分からない状態で、いきなりデザインソフトを開いても手が止まるだけです。ここでは、そうしたラフなブリーフをAIとの対話で広げ、実際に手を動かせる案まで絞り込んだ手順を、作業した順番のまま記録します。

要点

ブリーフをそのままAIに渡すのではなく、まず制約条件を自分で言語化してから広げると発散の質が上がります。方向性は多めに出させ、絞り込みは必ず人が行うことで、AI任せの企画にならずに済みます。ムード出し・バリエーション出し・絞り込みの3段階に分けて記録しておくと、後から「なぜこの案を選んだか」を説明できる状態が残ります。

ラフなブリーフをそのまま渡さない

最初にやったのは、ブリーフをAIに渡す前に自分で3つの質問に答えることでした。誰に向けた案か、既存の競合とどう違って見せたいか、絶対に外したくない要素は何か。この3点を書き出すだけで15分ほどかかりましたが、ここを飛ばして「カフェのロゴ案を10個」とだけ投げると、方向性がバラバラで比較にすら使えない出力が返ってきます。制約条件を先に決めるほど、後工程が速くなるという感覚は、AIを使う前と変わりません。

ステップ1 — 方向性を広げるプロンプト

制約条件を整理したうえで、最初のプロンプトはあえて具体的な絵柄までは指定せず、方向性の言葉出しに絞りました。

役割: ブランドコンセプトの壁打ち相手
条件: 個人経営の焙煎カフェ、ターゲットは在宅ワーカー
外せない要素: 手作業の温かさを感じさせること
依頼: ロゴの方向性を表す形容詞ペアを8組
出力形式: 「静かな一手作業」のような短い言葉で

ここで出てきた8組のうち、実際に使えそうだと感じたのは3組だけでした。残り5組は的外れでしたが、それも収穫です。「この方向性は違う」と分かること自体が、次の一手を決める材料になります。

ムードの言葉出しから画像の当たりへ

絞った3方向について、それぞれ簡単な参考イメージの当たりを付ける段階に進みました。ここではじめて画像生成に触れることになりますが、プロンプトの型をきちんと作っておかないと、言葉出しの段階で固めた方向性がぼやけてしまいます。プロンプトの具体的な組み立て方はプロンプトの書き方にまとめてあるので、ここでは工程の位置づけだけ触れておきます。クリエイティブAIをどこまで、どんな場面で使うかという前提の整理はクリエイティブAIの基礎で扱った線引きがそのまま当てはまります。

ステップ2 — バリエーションを作り、比較する

3方向それぞれについて、条件を変えずにトーンだけを振った案を並べて見比べました。同じ条件から出したバリエーションを横に並べると、単体で見たときには気づかなかった違い、たとえば「思ったより硬い印象になる」といった傾向が見えてきます。これは1案ずつ順番に生成して確認していては気づきにくいことで、複数案を同時に並べて比較する工程を省略しないことが、この段階での一番の学びでした。

自分の判断をどこに残すか

もっとも、ここまでの手順を踏んでも、最終的にどの方向性を選ぶかはAIには判断できません。AIが返してくるのは「条件に合いそうな候補」であって、「このカフェのオーナーが本当に大切にしたい空気」ではないからです。今回は、オーナー本人の話し方や店の実際の内装写真と照らし合わせて、AIが出した3方向のうちどれが一番近いかを人の目で選びました。この最終判断の工程を省いてAIの出力をそのまま採用すると、条件は満たしているのに「らしくない」ものが出来上がることがあります。

また、壁打ちの過程で店の未公開の内装写真や実名の顧客情報を入力しないよう注意しました。ブレストの相手としてAIを使う場合でも、公開前の素材や個人情報を安易に入力しないという線引きは、ロゴ案の内容以上に守るべきルールです。

コンセプト出しの手順を、企画から公開までの一連のワークフローに組み込みたい場合はワークフロー設計の記事で工程全体の設計を扱っています。今回のような壁打ちの型を体系的に練習したい方には、クリエイティブAI基礎講座をコース案内で紹介しています。

参考文献

  1. Anthropic. "Prompt engineering overview." Claude Docs. https://docs.claude.com/en/docs/build-with-claude/prompt-engineering/overview
  2. IDEO. "Design Thinking." https://designthinking.ideo.com/
  3. OpenAI. "Prompt engineering guide." OpenAI Platform Documentation. https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-engineering(本稿執筆時点の内容。最新情報は公式サイトを参照のこと)

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